「進学」しか見せない進路指導が、
進学の質も下げている。
早活を知って、
もっと生徒の能力を引き出す進路指導へ。
生徒にとっても保護者にとっても、希望の大学へ進学させることがベストの選択―そう思っていませんか。
大学に入ると、まずは講義を聞いてレポートを書き、テストを受ける。座学の学びが中心です。3年生以降になるとゼミや研究なども入ってきますが、頭を使っての学びが中心となるのは変わりません。
そんな学びの環境に明らかに合わないな、と思っている生徒が、奨学金を借りて進学する場合、以下の3つのリスクが存在します。
- ① 中退リスク
- 学びについていけず、面白みも感じられず、単位不足で中退する。「大学の実力2019」によると2018年の調査で、全大学平均で7%。多い大学では20%に達するところもあります。中退すれば、学歴は高卒のままで、支払った入学費や学費も戻ってきません。
- ② 奨学金リスク
- 卒業できても、多額の奨学金をかかえます。平均で300万円ほどの債務をかかえています。多い人であれば500万円を超えます。
- ③ 大学卒業後、非正規雇用や低収入リスク。
- 大学卒業だからといって、高収入の仕事につけるとは限りません。また、非正規労働など不安定な仕事につくケースも多く、低収入に奨学金の返済が加わり、厳しい生活環境になる若者は多数います。
コロナ禍の大学は、サークル活動も激減し、学生同士のつながりも減り、学ぶ目標を明確にもっていない学生にとっては、厳しい場所になっています。
「とにかく大学にいっておけばなんとかなる」時代ではないのです。むしろ大学に行ったことが足をひっぱる場合も多数。
早活型の高卒就職がうまれています。
いま、企業では大卒も高卒も生涯にわたる差を設けず採用・育成し、
主力となる社員をいち早く育てようという動きが始まっています
静岡銀行
静岡銀行、28年ぶりの高卒採用復活
学業と両立支援
銀行のビジネスモデルが変革を求められる中、多様な人材を獲得する狙い。銀行で働きながら大学の夜間コースや通信制大学を受験し、地域の将来を担う人材として育成する。大学の受験料や学費は静岡銀行が負担する。(静岡新聞2020年12月)
(株)ワコールホールディングス
高卒採用率をUP
「大卒と比べ成長の度合いが大きい」
2019年2人が入社したワコールは「大卒と比べ成長の度合いが大きい」(人事担当)との評価から、20年春は販売職の正社員60人のうち15%にあたる9名を高卒にした。給与は入社5年目で大卒新卒社員より高くなる(標準評価ベース)よう設定されている。(日本経済新聞2020年3月)
大和ハウス工業(株)
工業高校生を採用。
専門学校で育成
新卒の工業高校の生徒を採用し、専門学校で学ばせるなどして建築現場の監督者に育成する取り組みを始めた。経済的な理由で就職をめざす生徒も支援する。3年目から施行管理職として働き、その後は大卒社員らと同じ扱いになる。(朝日新聞デジタル2020年12月)
スターバックスコーヒージャパン(株)
高卒の社員登用、
高校生バイトも採用開始
2024年末までに2000店舗体制にするため、年間100店舗前後の出店を続ける予定。出店拡大に合わせて、2022年春からは高校生のアルバイト採用を認め、高校卒業見込み者の社員登用を一部始める
(WWDJAPAN 2020年11月)
これらの就職は、高校を卒業して働き収入を得ながら学び、プロとして力をつけていく道といえます。
座学で学ぶよりも、現場で手を動かし知識と技術を身につけていく方があっている高校生にとっては、こうした選択肢のほうが、余分なリスクを背負わずに、自分らしさ活かせる選択になるかもしれません。
就職する選択が魅力的になったとき、
大学の選択の本当の価値が見える。
もし、「高卒就職は悪い」という色眼鏡を教員がもっていると、こうした新しい動きを見落とすことに気付いてください。
この事実を伝えられるのは、教員の考え次第。高校から社会にでてプロになる選択をした卒業生の、見違えるような成長ぶりを目にしたとき、新しい時代がひらくことを感じるはずです。
この早活キャリアは、大学進学を否定するものではありません。就職の選択が魅力的になったとき、それを上回る価値を見いだした生徒が大学進学をすることで、大学進学の本当の価値が生まれます。まず働いてみて、新たな学びの動機を見つけたときに大学に行って学びを深める道も選択肢はたくさん開いています。